Selected Works
選んだ作品
6 本
ここには、何度も読み返したくなったもの、最初の入口として手渡したいものだけを静かに並べます。 更新順ではなく、残したい順序で見せるための小さな選集です。
Catalogue
すべての作品へ 選集の目録
そのときどきで、いま前に置きたい作品は少しずつ変わります。ここでは、いまの輪郭をそのまま残します。
01
足もとの灯
生きていたって、そういいことはないと思う夜がある。それでも歩いてきたのは、いつか同じ顔をした誰かの足もとを照らすためかもしれない。
02
道幅より広く
強い雨の日、島から人影は消え、道には容赦ないレンタカーばかりが目につく。それでも小さな島であるほど、心のほうは狭くしたくないと思う。
03
借りものの声
彼は誰にも好かれない。けれど、その理由を自分で考えようとしたことが、たぶん一度もなかった。
04
遠い呼び声
救急外来の待合では、診察を待つ人たちが妙に元気そうに談笑していた。けれど、病気は人を勝手にもするし、考え直させもする。
05
客席の笑い
テレビの前で笑っていた世代の私は、いつしか画面から遠ざかり、動画で見た落語の客席の笑いに、忘れていた自然なほころびを思い出した。
06
小さな勘定
石油の値段や先行きの不安は遠い話のようでいて、日々の暮らしでは小さな節約や倹約の手つきとしてあらわれる。それでも世界は、知らぬ顔で進んでいく。