五月は、ずれを見るための月だった。

ジャンル違いの三本を並べてみる、という運び方が、自然と何度も繰り返された。話し方の三層も、疲れの取れない理由も、お金と気持ちのずれも、時間が足りないという感覚も、面白い物語の掴みも——それぞれ別の場所で起きている小さなずれを、三つずつ並べると、別の輪郭が立ち上がってくることが分かったからだ。

短い物語のほうも、似た題材を扱っていた。怒りに点数をつけてみた帳簿、連休に借りられた通り、駅のホームで肩を押された夕方。どれも、いつもなら通り過ぎていた小さなずれを、いったん立ち止まって見ようとした文章である。

並べて見ることは、答えを出すことではない。並べると、それまで気づかなかった輪郭が、ほんの少しだけ濃くなる。今月の棚では、その輪郭の集まりを、ひとつの面に置いてみる。