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22 作品

この題材を含む作品を、新しい順に並べています。

01

押されない側

2026年5月5日 短編

駅で肩を押された夕方、怒りを力に変えようとして気づく。押されない人たちは押し返す訓練をしていない。彼らの背中の周りには、押すとこちらが崩れそうな密度が、うっすらある。

02

借りられた通り

2026年5月4日 短編

ゴールデンウィークの通りに、見慣れない人たちの歩き方が混じる。光だけ見れば祝日の景色なのに、明るさの裏で、街は住人から少しだけ貸し出されている。

03

怒りポイント制度

2026年5月3日 短編

不義をポイントに変えて鉄槌を下ろし続けるための、私だけの帳簿。けれどノートが厚くなるほど、点数化された怒りのほうが、私のまなざしを少しずつ調整しはじめる。

04

白い時計の跡

2026年4月29日 短編

走り終えて時計を外すと、手首だけが焼けずに白く残っている。覚えのない境目が、もう一本、自分の腕に引かれている。

05

道幅より広く

2026年4月15日 短編

強い雨の日、島から人影は消え、道には容赦ないレンタカーばかりが目につく。それでも小さな島であるほど、心のほうは狭くしたくないと思う。

06

足もとの灯

2026年4月14日 短編

生きていたって、そういいことはないと思う夜がある。それでも歩いてきたのは、いつか同じ顔をした誰かの足もとを照らすためかもしれない。

07

鏡の返事

2026年4月14日 短編

鏡を見るたびに、私は向こうの顔へ同じことをたずねるようになった。おまえは誰だと思う、と。

08

涼しさのあと

2026年4月13日 短編

エアコンは年々やさしく賢くなっていく。その快適さの裏で、人の身体のほうが少しずつ失っているものがある気がする。

09

湿った待ち時間

2026年4月12日 短編

湿度の高い島では、台風の前触れにも少し慣れている。けれど家の中に閉じる時間だけは、いつも別の長さで進んでいく。

10

赤く咲くもの

2026年4月11日 短編

花火の赤はきれいなのに、爆弾の赤さを思うと、同じ破裂の中に別の咲き方が潜んでいるように見えてくる。

11

季節が先へ行く

2026年4月11日 短編

春のはずなのに、海沿いを走ると風だけがもう初夏の顔をしている。身体より先に、季節のほうが走っていってしまう。

12

目がさめる前の品物

2026年4月10日 短編

年をとるにつれて欲しいものは減ったはずなのに、夜明け前だけ、名前のない品物がひとつだけはっきり近づいてくる。

13

取得中のまま

2026年4月9日 短編

終わらないデータ取得の画面を見ながら、待っているだけの時間だけが先に進んでいく。

14

芝浜の声

2026年4月9日 短編

女性落語家である私は、怖い家元の前で芝浜を上げることになった。けれど、いちばん離れがたいのは、もういない落語家の父の声だった。

15

家へ戻るまで

2026年4月8日 短編

家で待っている家族がいるとわかっているからこそ、バスツアーの帰り道には少しだけ一人になれる時間がある。

16

赤のあいだ

2026年4月8日 短編

車の列の中で、変わらない他人に腹を立てていたはずなのに、気がつくと自分も少しも進んでいなかった。

17

最後に鳴る和音

2026年4月7日 短編

雨の夜、酒を少し飲みながらアコギを触っていたら、最後にまだ押さえられない和音だけが鳴った。

18

消え残る音

2026年4月7日 短編

静かな部屋でノイズキャンセリングを入れたときだけ、ひとつ気になる音がはっきり聞こえる。

19

雨ざらしの洗濯機

2026年4月7日 短編

屋外に置いた洗濯機がとうとう壊れたが、すぐには片づける気になれなかった。

20

変わらない幅

2026年4月7日 短編

海岸沿いを走るたび、同じおじさんを見かける。自転車に乗っても、走っていても、なぜかその体つきだけが少しも変わらない。

21

三枚目だけ暗い

2026年4月7日 短編

帰り道に撮った三枚の写真のうち、最後の一枚だけが妙に暗かった。

22

遅れてくる字幕

2026年4月6日 短編

自動翻訳の字幕が、ほんの少しだけ現実から遅れて追いかけてくる。